2026.10.10

PCCJ 富士スピードウェイ攻略。
高速域でマシンを安定させる「100R」を知る。

2026年のPorsche Carrera Cup Japan(PCCJ)は、すべてのレースを終えました。

しかし、来シーズンに向けてサーキットを知る時間は、まだまだあります。

今年のPCCJは、第8戦の鈴鹿から最終戦の富士まで、非常に短い期間の中でレースが続きました。

そのため、レースを追いかけることに集中する一方で、各サーキットのひとつひとつのセクションをじっくり紹介する時間はなかなかありませんでした。

そこでTHE LOT.では、2027年のPCCJに向けて、富士スピードウェイを少しずつ掘り下げていきます。

これまで、ホームストレート、1コーナー、2コーナー、そしてコカ・コーラと紹介してきました。

長いホームストレートから1コーナーで大きく減速し、2コーナーで加速。

そしてコカ・コーラで速度を保ちながらコーナーを抜け、今回の舞台へ入っていきます。

今回紹介するのは、富士スピードウェイを代表する高速コーナー。

「100R」です。

富士を代表する高速コーナー「100R」

100Rは、富士スピードウェイの中でも特に印象的な高速セクションのひとつです。

ここまで紹介してきた1コーナーや2コーナーとは、マシンへの要求が大きく変わります。

1コーナーでは強烈なブレーキング。

2コーナーでは向きを変えて加速。

コカ・コーラでは進入速度と出口でのアクセル操作。

そして100Rでは、

「高速域でどれだけマシンを安定させ、速度を維持できるか」

が重要になってきます。

大きなブレーキングをする場所ではありません。

だからこそ、ドライバーの細かな操作と判断が、そのまま速さにつながるコーナーです。

FUJI SPEEDWAY 100R

特徴:高速域で走り続ける大きな右コーナー

ポイント:速度を落としすぎず、マシンを安定させる

重要な操作:ステアリング・アクセル・荷重コントロール

注意点:コカ・コーラ出口から横Gが継続する

次のADVANコーナーへのブレーキングまでをひとつの流れとして考える

100Rは「どこでブレーキを踏むか」ではない

これまでの記事では、ブレーキングポイントについて何度も紹介してきました。

1コーナーでは、どこまでブレーキを遅らせるのか。

しかし100Rでは、少し考え方が変わります。

ここで重要なのは、

「どこで止まるか」ではなく、「どこまで速度を残すか」。

高速で進入して、そのままマシンを曲げていく。

アクセルを大きく戻しすぎれば速度を失います。

逆に速度を残しすぎれば、タイヤの限界を超えてマシンが外へ膨らんでしまう可能性があります。

そのちょうどいいところを探していく。

これが100Rの難しさです。

「速い人ほど、操作が少ない」

100Rのような高速コーナーでは、ドライバーの操作が非常に重要になります。

ただし、ここでいう「操作」は、派手な操作という意味ではありません。

むしろ逆です。

速いドライバーほど、余計な操作をしない。

ステアリングを必要以上に切らない。

アクセルを急激に戻さない。

そして、マシンの動きを乱さない。

高速域では、ほんの少しのステアリング修正でもマシンの姿勢に影響します。

だからこそ、マシンを大きく動かすのではなく、必要最小限の操作でラインを維持することが重要になります。

カップカーで100Rを走るなら、何を考える?

PCCJのカップカーに乗っていると考えてみましょう。

100Rに入るまでに、すでにマシンには大きな横Gがかかっています。

コカ・コーラを抜けたところから、マシンは左方向へ強い横Gを受けた状態で100R出口へ向かいます。

つまり100Rだけを単独で考えるのではなく、

「コカ・コーラの出口から100Rまで、マシンの状態をどうつなげるか」

が重要になります。

ここで急激にステアリングを操作したり、アクセルを大きく変化させたりすると、マシンの荷重が乱れる可能性があります。

高速域では、その小さな乱れが大きな動きにつながることがあります。

だからこそ、カップカーではマシンを落ち着かせたまま走らせることが非常に重要です。

DRIVER'S POINT

100Rでは「もっと速く走ろう」と思って操作を増やすのではなく、マシンを安定させたまま速度を維持する。

ステアリング、アクセル、荷重の変化をできるだけ滑らかにつなげることがポイントです。

高速コーナーでは、速さだけではなく「マシンを乱さない技術」が大きな武器になります。

100Rで怖いのは「速度」そのものではない

100Rを外から見ていると、

「こんな速度で曲がるの?」

と思ってしまうかもしれません。

もちろん、高速で走ること自体にリスクはあります。

しかし、レーシングドライバーにとって本当に重要なのは、単純な速度の大きさではありません。

その速度の中で、マシンがどれだけ安定しているか。

タイヤがどこまでグリップしているのか。

マシンがどれくらい外へ膨らもうとしているのか。

ステアリングにどのくらいの力が必要なのか。

アクセルをどこまで開けられるのか。

そういった情報をドライバーは常に感じながら走っています。

だから100Rでは、

「怖いから減速する」ではなく、「マシンが安定している範囲を見極める」

ことが重要になります。

100Rは「我慢」のコーナーでもある

100Rを速く走ろうとすると、どうしても早くアクセルを開けたくなります。

もっと速度を乗せたい。

もっと早く加速したい。

そう思ってしまいます。

しかし、ここで焦るとマシンの姿勢を崩してしまう可能性があります。

高速コーナーでは、一瞬の操作よりも、長い時間マシンを安定させることが重要です。

そのため100Rでは、ドライバーにとって「我慢する」という感覚も重要になります。

無理にアクセルを開ける。

無理にステアリングを戻す。

無理にラインを変える。

そういった操作をせず、マシンが自然にコーナーを抜けていく状態を作る。

それができれば、その先で一気に次の区間へつなげることができます。

100Rの出口が「次の勝負」を決める

100Rのもうひとつの重要なポイントが、出口です。

100Rを抜けた先には、次の大きなブレーキングポイントであるADVANコーナーが待っています。

ここで考えなければならないのは、

「100Rを速く抜けること」だけではありません。

その先のADVANコーナーへ、どのような状態で進入するのか。

100Rの出口でマシンが外へ膨らみすぎていれば、その後のブレーキングへの準備が難しくなります。

逆に、きれいなラインで100Rを抜けることができれば、次のブレーキングへスムーズにつなげることができます。

つまり、

100Rの出口から、すでにADVANコーナーの攻略が始まっている。

これもサーキットを走るうえで非常に重要な考え方です。

「100Rだけ速い」では意味がない

レーシングドライバーがコースを攻略するとき、ひとつのコーナーだけを速く走ることはあまり意味がありません。

100Rだけを速く走ろうとして、出口でマシンが乱れてしまえば、その先のADVANコーナーでロスする可能性があります。

逆に100Rで少しだけ余裕を持たせたとしても、マシンをきれいに安定させてADVANコーナーへつなげることができれば、区間全体では速くなる場合があります。

だからこそ、

「ひとつのコーナーの最速」ではなく、「区間全体の最速」を考える。

これがレーシングドライバーの考え方です。

下って、そして上る。100RからADVANへ

富士スピードウェイの100R周辺で特徴的なのが、高低差です。

コカ・コーラから100Rへ向かう区間を抜け、その先ではADVANコーナーへ向かってブレーキングを開始します。

公式のコース解説でも、この区間は「下って上る難しいセクション」とされています。

つまりドライバーは、平坦な路面だけを走っているわけではありません。

路面の高低差によってマシンの荷重も変化します。

高速で走りながら、その変化を感じ取る必要があります。

だからこそ100RからADVANコーナーまでの区間は、見た目以上に難しいセクションなのです。

100R → ADVAN CHECK POINT

100Rの出口だけを見るのではなく、ADVANコーナーへのアプローチまで考える。

下りから上りへ変化する路面で、マシンの荷重変化を感じながら走る。

100R出口で無理をせず、次のブレーキングへつなげられるラインを作ることが重要です。

雨の100Rは「速度」と「グリップ」の読み合い

2026年のPCCJ最終戦、富士スピードウェイは激しい雨に見舞われました。

今回のシリーズで使用している写真も、そんな雨の富士を象徴する一枚です。

雨の100Rでは、ドライコンディションとはまったく違う判断が必要になります。

タイヤのグリップが低下する。

路面の水量によってグリップが変化する。

そして、高速域での横Gがかかる。

この状態で無理に速度を維持しようとすれば、マシンが限界を超える可能性があります。

一方で、慎重になりすぎればタイムを失います。

だから雨の100Rでは、

「どこまで速く走れるか」ではなく、「今の路面でどこまで安定して走れるか」

という判断が重要になります。

2026年の最終戦のような厳しいコンディションでは、こうした判断力がさらに大きな意味を持ちます。

WET CONDITION

雨の100Rでは、無理にドライと同じ速度を狙わない。

タイヤのグリップと路面の状態を感じながら、マシンが安定している範囲を見極める。

そして、100R出口からADVANコーナーへのブレーキングまでを安全かつスムーズにつなげる。

観戦するときは「マシンの動き」を見てほしい

100Rを観戦するときは、単純に「どのマシンが速いか」だけではなく、マシンの動きに注目してみてください。

同じカップカーが同じコーナーを走っていても、ドライバーによって微妙に動きが違います。

ステアリングの切り方。

マシンのロール。

アクセルの開け方。

コーナー出口でのマシンの姿勢。

そして、100Rを抜けたあとADVANコーナーへ向けてどのようにマシンを準備しているのか。

そこまで見てみると、100Rの面白さがより分かってきます。

100Rで見るべき5つのポイント

01 コカ・コーラからのつながり

100Rだけを見るのではなく、コカ・コーラ出口からマシンがどのようにつながってくるのかに注目です。

02 高速域でのマシンの安定性

大きなブレーキングをせず、高い速度を保ったまま走る100R。 マシンがどれだけ安定しているのかを見てみましょう。

03 ステアリング操作

高速コーナーでは、ステアリングの小さな操作がマシンの動きに影響します。 どれだけ滑らかに操作しているかがポイントです。

04 100R出口

コーナーを抜ける瞬間だけではなく、その先のADVANコーナーまで含めて見てみると、ライン取りの意味が分かります。

05 ADVANコーナーへのアプローチ

100Rを抜けたら、すぐに次のブレーキングが待っています。 どのようにマシンを準備しているのかに注目です。

100R CHECK POINT

01 コカ・コーラ出口からのつながり

02 高速域でのマシンの安定性

03 滑らかなステアリング操作

04 100R出口での姿勢

05 ADVANコーナーへのブレーキング準備

100Rは「速さ」と「我慢」のコーナー

今回、100Rについて紹介してきました。

ここまでのコーナーとは、少し違った難しさがあることが分かっていただけたでしょうか。

1コーナーでは、強烈なブレーキング。

2コーナーでは、早い加速。

コカ・コーラでは、見えない出口を予測したラインとアクセル操作。

そして100Rでは、

「速度を維持しながら、マシンを乱さない」

ことが重要になります。

速く走りたい。

もっとアクセルを開けたい。

もっと速度を残したい。

そんな気持ちを少しだけ抑えながら、マシンの限界を正確に見極める。

100Rは、そんな「速さ」と「我慢」のバランスが求められるコーナーなのです。

2027年、新型カップカーで100Rはどう変わる?

そして2027年のPCCJでは、100Rにも新しい楽しみが加わります。

これまで使用されてきたType 992.1の911 GT3 Cupから、新型911カップ Type 992.2へ。

2026年に1年間カップカーを経験したKiyominが、今度は新しいマシンで富士を走ります。

高速コーナーでは、マシンの空力特性やタイヤ、サスペンション、ドライバーの操作など、さまざまな要素が組み合わさります。

新型911カップで100Rを走ったとき、Kiyominがどのような感覚を受けるのか。

そして2026年の経験が、どのように新しいマシンの走りへつながっていくのか。

2027年のPCCJでは、そんなところにも注目していきたいと思います。

富士の攻略は、次のブレーキングへ。

今回は、富士スピードウェイの100Rを紹介しました。

コカ・コーラから続く横G。

高速域でのマシンコントロール。

できるだけ速度を落とさず、それでいてマシンを乱さない。

そして、100Rを抜けた先には次の大きな勝負が待っています。

ADVANコーナーです。

100Rで速度を維持したマシンが、今度は一気にブレーキング。

ここから富士スピードウェイは、また違った表情を見せ始めます。

次回は「ADVANコーナー」。

100Rを抜けたマシンは、そのまま次のブレーキングポイントへ向かいます。

ここまで高速域で走ってきたマシンを一気に減速させ、そこから300R、そしてダンロップコーナーへつなげていく。

100Rとは正反対に、今度は「どれだけ短く、効率よくブレーキを使えるか」が重要になってきます。

ブレーキを踏む。

マシンの向きを変える。

そして、できるだけ速度を残して立ち上がる。

ここでも、ひとつのコーナーだけではなく、その先の300Rまでを考える必要があります。

次回は、富士スピードウェイ「ADVANコーナー」をレーシングドライバーの視点から詳しく紹介します。

NEXT PCCJ 2027

富士スピードウェイ
「ADVANコーナー」

100Rの高速区間を抜けた先に待つ、
次の大きなブレーキングポイント。

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