2026.10.07

PCCJ 富士スピードウェイ攻略。
1,475mの先に待つ「1コーナー」を知る。

2026年のPorsche Carrera Cup Japan(PCCJ)は、すべてのレースを終えました。

しかし、来シーズンに向けてサーキットを知る時間は、まだまだあります。

今年のPCCJは、第8戦の鈴鹿から最終戦の富士まで、非常に短い期間の中でレースが続きました。

そのため、レースを追いかけることに集中する一方で、各サーキットのひとつひとつのセクションをじっくり紹介する時間はなかなかありませんでした。

そこでTHE LOT.では、2027年のPCCJに向けて、富士スピードウェイを少しずつ掘り下げていきます。

前回は、富士スピードウェイを象徴するホームストレートを紹介しました。

そして今回は、そのホームストレートを約1,475m走り切った先に待っている、富士の大きな勝負どころ。

「1コーナー」です。

正式名称は「TGRコーナー」

まず、名前について少しだけ。

富士スピードウェイの第1コーナーは、正式には「TGRコーナー」と呼ばれています。

ただ、モータースポーツの現場では昔から「1コーナー」と呼ばれることが多く、PCCJのレースを見ていても「1コーナー」という呼び方のほうが馴染みがあるかもしれません。

今回の記事でも、正式名称はTGRコーナーとしながら、基本的には「1コーナー」という呼び方で進めていきます。

そして、この1コーナーこそが富士スピードウェイを代表する、最大級のオーバーテイクポイントのひとつです。

1,475mの先に待つ、大きなブレーキング

前回の記事でも紹介したように、富士スピードウェイのメインストレートは1,475m。

世界的に見ても非常に長いストレートです。

その長い直線を、マシンは一気に駆け抜けていきます。

そして、その先に突然現れるのが1コーナー。

ここまで全開で加速してきたマシンが、今度は一気に速度を落とさなければなりません。

つまり1コーナーは、

「加速」から「減速」へ、一瞬で切り替える場所。

そして、その減速の中でライバルとの勝負まで行われる場所です。

FUJI SPEEDWAY TGR CORNER

正式名称:TGRコーナー

通称:1コーナー

特徴:高速域からの強烈なブレーキング

見どころ:オーバーテイク・ブレーキング勝負・ライン取り

次の第2コーナーまで含めたポジション取りも重要

1コーナー最大の見どころは「ブレーキング」

1コーナーの最大の見どころ。

それは、やはりブレーキング勝負です。

長いホームストレートで速度を乗せたマシンが、1コーナー手前で一斉にブレーキングを開始します。

レースでは、この瞬間に何台ものマシンが一気に近づきます。

前のマシンのスリップストリームに入っていたマシンが横に並ぶ。

さらに後ろから別のマシンも仕掛けてくる。

そして、ほぼ同時にブレーキを踏む。

富士スピードウェイの1コーナーでしか見られないような、非常に迫力のあるシーンが生まれます。

「どこでブレーキを踏むか」がすべてではない

レーシングドライバーの視点で見ると、1コーナーは単純に「ブレーキを遅らせれば速い」という場所ではありません。

もちろん、ブレーキングを遅らせることはオーバーテイクの大きな武器になります。

しかし、遅らせすぎれば当然止まり切れません。

そして、仮に1コーナーを曲がれたとしても、出口で大きく膨らんだり、次の第2コーナーへの位置取りを失ったりすれば、その先でタイムを失うことになります。

つまり重要なのは、

「どこまで遅くブレーキを踏めるか」ではなく、「どこまで正確に減速できるか」。

これが1コーナーの大きなポイントです。

カップカーでは「止める力」と「止め方」が重要

PCCJのカップカーに乗っていると考えてみましょう。

ホームストレートでは、マシンを可能な限り加速させる。

そして1コーナーが近づいた瞬間、一気にブレーキを踏む。

ここで必要になるのが、強烈な制動力です。

しかし、ただ思い切りブレーキを踏めばいいわけではありません。

重要なのは、マシンを安定させながら、必要なだけ減速させること。

強く踏みすぎればタイヤの限界を超えてしまう。

逆に慎重になりすぎれば、ブレーキングでライバルに差をつけられてしまう。

さらに、ブレーキを残しながらステアリングを切っていくと、マシンの荷重も変化します。

だから1コーナーでは、

ブレーキの強さ、タイミング、リリース、そしてステアリング操作。

これらをひとつにつなげる必要があります。

DRIVER'S POINT

1コーナーでは「遅くブレーキを踏む」ことだけを考えない。

重要なのは、強く減速しながらもマシンを安定させ、狙ったラインへ正確に入れること。

ブレーキングの最後まで、次の第2コーナーを意識することが重要です。

オーバーテイクは「1コーナーだけ」の勝負ではない

1コーナーはオーバーテイクポイントとして非常に有名です。

しかし、実際のレースでは1コーナーだけを見ていてはいけません。

その前にあるのが、ホームストレート。

そして、そのさらに前には最終コーナーがあります。

最終コーナーをきれいに立ち上がる。

↓

ホームストレートで加速する。

↓

前のマシンのスリップストリームに入る。

↓

徐々に差を詰める。

↓

1コーナー手前で横に並ぶ。

↓

ブレーキング勝負。

この一連の流れが、ひとつのオーバーテイクなのです。

だからこそ、前回のホームストレート編でも紹介したように、1コーナーの勝負はホームストレートに入る前から始まっています。

並んだまま1コーナーへ入る怖さ

レース中、2台のマシンが並んだまま1コーナーへ進入することがあります。

観客からすれば非常に迫力のある瞬間です。

しかし、ドライバーにとっては非常に神経を使う瞬間でもあります。

お互いがブレーキングをしている。

お互いが限界に近い速度でコーナーへ進入している。

しかも、相手の動きを完全には予測できません。

少しでもブレーキのタイミングやライン取りがずれれば、接触につながる可能性があります。

だからこそ、1コーナーでのバトルには速さだけではなく、相手との距離感を読む能力も必要になります。

1コーナーで勝っても、まだ終わりではない

そして、富士の1コーナーにはもうひとつ面白いポイントがあります。

それが第2コーナーへのつながりです。

1コーナーで前に出た。

それだけで完全にポジションを守れるとは限りません。

1コーナーの先には第2コーナーが続いています。

1コーナーでの進入位置や立ち上がり方によって、次のコーナーでの位置関係が変わります。

つまり、

「1コーナーを取った者が勝ち」ではなく、「1コーナーから次の区間までをどうつなげるか」

ここまで考える必要があります。

レースでは、この数秒間の判断がその後のポジション争いを大きく左右します。

そして1コーナーの先には、急激な下りが待っている

1コーナーを抜けると、コースは次のセクションへ向かって大きく下っていきます。

富士スピードウェイは全体として高低差のあるサーキットですが、特に1コーナーから第2コーナーへ向かう区間では、マシンの姿勢変化を意識する必要があります。

1コーナーで強く減速し、向きを変え、そこから下りながら第2コーナーへ。

ブレーキを終えてアクセルを開けていくタイミングも重要になります。

公式にも、TGRコーナーのブレーキング後は急角度で下り、10%勾配を右に回り込みながら第2コーナーへ続くとされています。

つまり1コーナーは、単独のコーナーとして攻略するのではなく、第2コーナーまでをひとつの流れとして考える場所なのです。

1 CORNER CHECK POINT

01 ホームストレートからの速度

02 スリップストリーム

03 ブレーキング開始位置

04 ブレーキの強さとリリース

05 進入ライン

06 ライバルとの位置関係

07 第2コーナーまで見据えた立ち上がり

雨の1コーナーは、さらに難しくなる

2026年のPCCJ最終戦では、富士スピードウェイが激しい雨に見舞われました。

今回のシリーズでこの写真を使用しているのも、そんな2026年最後の富士を終えた今だからこそです。

雨の1コーナーでは、当然ながらブレーキングがさらに難しくなります。

乾いた路面では強く踏み込める場所でも、濡れた路面では同じようにはいきません。

さらに、ストレートの終わりでは速度が非常に高いため、ブレーキング開始後の路面状況やタイヤのグリップを見ながら、マシンをコントロールする必要があります。

そして富士の1コーナーは、単に「止まる」だけではありません。

止まりながら曲がる。

そして、そこから下りながら次のコーナーへつなげる。

雨になれば、その一つひとつの操作がさらにシビアになります。

WET CONDITION

雨の1コーナーでは、乾いた路面と同じブレーキングをしない。

長いストレートの後だからこそ、減速開始からコーナー進入までのマシンの挙動を丁寧に感じる。

「攻める」だけではなく、「確実に止める」ことも重要なポイントになります。

観戦するときは「ブレーキを踏む瞬間」を見てほしい

富士スピードウェイでPCCJを観戦するなら、ぜひ1コーナーの進入をじっくり見てみてください。

ホームストレートを走ってくるマシン。

前のマシンとの距離が一気に縮まる。

そして――。

ブレーキ。

それまで全開で走っていたマシンが、ほんの一瞬で大きく減速します。

さらに、2台、3台と並んでいれば、その瞬間にレースの順位が大きく動くこともあります。

「誰が一番遅くブレーキを踏んだのか」

「誰が一番きれいに1コーナーへ入ったのか」

「誰が第2コーナーまで考えていたのか」

そんな視点で見ると、1コーナーのバトルがさらに面白くなります。

1コーナーで見るべき5つのポイント

01 ホームストレートからのアプローチ

1コーナーの勝負は、ホームストレートに入る前から始まっています。 最終コーナーからどれだけ速度を乗せてくるのかに注目です。

02 スリップストリーム

前のマシンの後ろに入り、長い直線を利用して差を詰める。 オーバーテイクの準備がここから始まります。

03 ブレーキング

一番の見どころ。 どこからブレーキを踏み、どこまで減速するのか。 マシンごとの違いにも注目です。

04 進入ライン

イン側から入るのか、アウト側を取るのか。 バトルではライン取りが大きく変わります。

05 第2コーナーへのつながり

1コーナーだけではなく、その先まで含めて見る。 ここがレーシングドライバー目線で見ると非常に面白いポイントです。

1コーナーは「止まる場所」ではない

1コーナーを簡単に説明するなら、

「長いストレートの後にある、ブレーキングコーナー」

となるでしょう。

しかし、実際のレースではそれだけではありません。

スリップストリーム。

オーバーテイク。

ブレーキング勝負。

ライン取り。

ライバルとの駆け引き。

そして第2コーナーへのポジション取り。

たったひとつのコーナーの中に、これだけ多くの要素が詰まっています。

だからこそ、富士スピードウェイの1コーナーは、長いホームストレートとセットで見ることで本当の面白さが分かってきます。

2027年、新型カップカーでの1コーナーはどうなる?

そして、来年はこの1コーナーにも新しい変化がやってきます。

2027年のPCCJでは、これまで使用されてきたType 992.1の911 GT3 Cupから、新型911カップ Type 992.2へとマシンが変わります。

新型911カップは、空力性能やブレーキ性能、電子制御システムなどが進化しています。

特にレーシングABSが標準装備されることも、大きな変更点のひとつです。

Kiyominにとっても、2026年に1年間カップカーでレースを経験した状態で、新しいマシンに乗ることになります。

同じ富士スピードウェイ。

同じ1コーナー。

しかし、ドライバーが乗るマシンは変わります。

新しいマシンで、ブレーキングの感覚はどう変わるのか。

1コーナーへの進入はどう変わるのか。

そして、2026年の経験を持ったKiyominがどんな走りを見せるのか。

2027年のPCCJでは、そんなところにも注目してみたいと思います。

富士の攻略は、1コーナーからさらに続いていく。

今回は、富士スピードウェイの1コーナー(TGRコーナー)を紹介しました。

1,475mのホームストレートを全開で走り、そこから一気にブレーキング。

ライバルと並び、限界まで減速しながらコーナーへ進入する。

そして、そこから第2コーナーへ。

1コーナーは、富士スピードウェイのレースを見るうえで欠かすことのできない重要なポイントです。

前回紹介したホームストレートと今回の1コーナー。

この2つをセットで見るだけでも、富士で行われるレースの見え方はかなり変わってくると思います。

そして、富士の攻略はまだ始まったばかりです。

次回は「第2コーナー」。

1コーナーで大きく減速したマシンは、そこから下りながら第2コーナーへ向かいます。

1コーナーでオーバーテイクを仕掛けたマシン。

それを守ろうとするマシン。

そして、その後ろからさらに迫ってくるマシン。

1コーナーのバトルは、まだ終わっていません。

次回は、そんな1コーナーの先に待っている「第2コーナー」を紹介します。

下りながら向きを変え、そこから再び加速していく短いセクション。

カップカーでは、どこを意識して走るのか。

そして、1コーナーからどうつなげていくのか。

次回は「第2コーナー」をレーシングドライバーの視点から掘り下げます。

NEXT PCCJ 2027

富士スピードウェイ
「第2コーナー」

1コーナーのバトルの先に待つ、
短くも重要な次のセクション。

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