2026.09.02

PCCJ2026 Rd8 / Rd9
鈴鹿サーキット「S字」。
ここで、ドライバーのリズムが見える。

鈴鹿サーキット S字 コースマップ
鈴鹿サーキット|S字|THE LOT.
鈴鹿を走るなら、S字を見れば分かる。

ホームストレートを駆け抜け、 1コーナー、2コーナーを抜ける。

ここから先、 鈴鹿サーキットは一気に テクニカルな表情を見せ始めます。

その代表とも言えるのが、 S字。

コース図を見ると、 右、左、右と連続して曲がるだけの シンプルな区間に見えるかもしれません。

しかし、 実際にレーシングカーを走らせる側からすると、 S字は決して「3つのコーナー」ではありません。

ひとつのコーナーで作ったマシンの姿勢を、 次のコーナーへどうつなげるか。

それを連続して求められる、 非常に奥の深いセクションです。

S字に入る前から、すでに勝負は始まっている。

S字を攻略するとき、 最初のポイントは 「S字に入ってから」ではありません。

その前にある 1コーナー、2コーナーから、 すでにS字への準備が始まっています。

2コーナーを抜けた時点で、 マシンがどこにいるのか。

どんな姿勢になっているのか。

どれだけアクセルを開けられているのか。

これらが、 最初のS字への進入速度に そのままつながってきます。

だからプロドライバーは、 「S字だけを速く走ろう」とは考えません。

2コーナーの出口から、 すでにS字を走っている。

そんな感覚に近いかもしれません。

DRIVER'S POINT S字は「最初の一発」で決まる。

S字で最も大切なのは、 最初のコーナーで マシンをどう動かすかです。

最初から無理に速度を乗せすぎると、 次の左へ切り返すときに マシンが思った位置にありません。

そこでさらにステアリングを切り足す。

マシンの荷重が乱れる。

次の右への切り返しも遅れる。

こうして、 最初の小さなミスが S字全体に連鎖していきます。

だからこそ、 最初のコーナーで「次のコーナーのためのマシン」を作る。

これがS字を走るうえでの 大きなポイントになります。

S字は「右・左・右」ではなく、一つのリズム。

S字の面白さは、 一つ一つのコーナーだけを見ていると 本質が分かりにくいところです。

右へ切る。 すぐに左へ切り返す。 そしてまた右へ。

ステアリングを切り返すたびに、 マシンの荷重も動いていきます。

そこで重要になるのが、 「荷重を止めないこと」。

右へ荷重を乗せ、 その力を利用して左へ向きを変える。

さらに左側へ移った荷重を使い、 次の右へマシンを向けていく。

うまく走れていると、 マシンがまるで 一つの大きな円弧を描くように S字を通過していきます。

逆に、 コーナーごとに 「減速して、曲がって、加速する」 という走り方をすると、 リズムが途切れてしまいます。

S字で大切なのは「速さ」より「リズム」。

レースを見ていると、 S字でアクセルを早く開けたマシンが 速く見えるかもしれません。

もちろん、 速い段階でアクセルを開けられることは重要です。

しかし、 本当に重要なのは、 「どれだけ早くアクセルを開けたか」ではなく、 「どれだけ良い姿勢で開けられたか」。

マシンがまだ曲がりきっていない状態で 無理にアクセルを開ければ、 次の切り返しで苦しくなります。

反対に、 マシンをきれいに次の方向へ向けながら アクセルを開けていけば、 S字全体として高いスピードを維持できます。

911 GT3 Cupで走るS字。

今回の舞台となる Porsche Carrera Cup Japan。

そこで使用される 911 GT3 Cupは、 サーキット専用に仕立てられた 本格的なレーシングカーです。

こうしたマシンでは、 S字のような連続コーナーでの 車体の動きが非常に重要になります。

ブレーキを残しながら フロントへ荷重を集める。

ステアリングを入れて マシンの向きを変える。

そこからブレーキをリリースし、 アクセルを開けながら 次の方向へ切り返す。

この一連の操作を、 ほとんど途切れることなく 繰り返していきます。

だからこそ、 S字ではドライバーの操作が そのままマシンの動きとして現れます。

DRIVER'S POINT ステアリングを「忙しく」動かすほど速いわけではない。

S字を走る映像を見ると、 ステアリングを左右へ素早く切り返す ドライバーに目が行きます。

しかし、 本当に速いドライバーほど、 操作は非常に滑らかです。

必要以上にステアリングを切らない。

マシンが向きを変え始めたら、 次の操作へ移る。

つまり、 「マシンを無理やり曲げる」のではなく、 「マシンが曲がる状態を作る」。

この違いが、 S字のような連続区間では ラップタイムに大きく表れてきます。

3つ目の右を見れば、S字の完成度が分かる。

S字を観戦するとき、 ぜひ注目してほしいのが 最後の右です。

そこだけを見るのではなく、 そこへ入ってきたときのマシンの姿勢 を見てみてください。

最初の右で無理をしたマシンは、 左への切り返しで姿勢が乱れ、 最後の右でも修正操作が増えてきます。

一方、 S字全体をきれいにつなげているマシンは、 最後の右でも非常にスムーズです。

ステアリング操作が少ない。

車体の動きが安定している。

そして、 次のセクションへ向けて 早く加速に移っている。

ここまで見ると、 「S字が上手いドライバー」 が少しずつ分かってきます。

S字では「1台の速さ」ではなく「ラインの違い」を見る。

レース観戦で面白いのが、 同じS字でも ドライバーによって マシンの動かし方が違うことです。

あるドライバーは、 最初の右で少し余裕を残し、 次の左から一気にリズムを作る。

別のドライバーは、 最初から積極的にマシンを動かし、 高いスピードを維持する。

どちらが正解ということではありません。

タイヤの状態、 燃料、 前後のマシンとの距離、 レース中のポジション。

その時々の状況によって、 ドライバーはラインや操作を 微妙に変えています。

これも、 ワンメイクレースである PCCJを見る面白さの一つです。

01 2コーナー出口 S字へ向けてマシンの位置と姿勢を整える。ここですでに次の区間が始まっています。
02 最初の右 最初から限界まで攻めるのではなく、次の左へマシンをつなげることを意識します。
03 左への切り返し マシンの荷重をスムーズに移し、ステアリング操作をできるだけ途切れさせないことが重要です。
04 最後の右 S字全体のリズムが集約される場所。ここで良い姿勢を作り、次の区間へつなげます。

S字は「我慢」が速さにつながる。

鈴鹿のS字を走るうえで、 個人的に非常に重要だと感じるのが 我慢です。

もっと速く入りたい。

もっと早くアクセルを開けたい。

そう思うのが当然です。

しかし、 一つ目のS字で少しだけ我慢することで、 次の左、その次の右まで 良い状態を維持できる。

結果として、 区間全体では速くなる。

これが鈴鹿というサーキットの 面白いところです。

「一つのコーナーを速く走る」 のではなく、 「次のコーナーを速く走るために、 今のコーナーをどう走るか」。

S字では、 その考え方が非常に分かりやすく表れます。

S字は、ドライバーの「丁寧さ」がタイムになる。

ブレーキングで無理をしない。

ステアリングを切りすぎない。

マシンの荷重を感じながら、 次のコーナーへつないでいく。

一見すると、 派手さのない走りに見えるかもしれません。

しかし、 その一つ一つの操作が積み重なって、 1周のタイムになっていきます。

鈴鹿のS字は、 ドライバーの「上手さ」が 最も見えやすい場所の一つです。

観戦するときは「マシンの音」にも注目してください。

S字を観戦するなら、 マシンの動きだけでなく エンジン音にも注目してみてください。

右、左、右。

コーナーごとに アクセルを大きく戻すマシンと、 スムーズにアクセルをつないでいくマシン。

音の変化を聞いているだけでも、 そのドライバーが どれだけスムーズにS字を走っているのか、 少しずつ分かるようになります。

特にPCCJのように 同じ911 GT3 Cupで戦うレースでは、 マシンの違いが少ないからこそ、 ドライバーの操作による違いが 見えやすくなります。

S字の先には、さらに鈴鹿らしい難所が待っている。

S字を抜けると、 鈴鹿サーキットは さらに難しいセクションへ入っていきます。

次に待っているのが、 ダンロップ。

S字で作ったマシンのリズムを そのまま次の区間へ持っていけるか。

ここでも、 「一つ前のコーナーが次のコーナーを作る」 という鈴鹿らしい考え方が重要になります。

S字をきれいに抜けられたドライバーは、 次のダンロップへ向けて 良い状態で進入できます。

逆にS字でリズムを崩してしまえば、 その影響は次の区間まで残ります。

S字は、鈴鹿の「リズム」を体感できる場所。

鈴鹿サーキットのS字は、 単純に右・左・右と曲がるだけの セクションではありません。

マシンの荷重を感じ、 ステアリングを切り返し、 アクセルをつなぎ、 次のコーナーへマシンを運んでいく。

そのすべてを 一つのリズムとしてまとめる。

それがS字です。

だからこそ、 S字を見れば ドライバーがどれだけ マシンを理解しているのかが見えてくる。

PCCJ2026 Rd8 / Rd9では、 ぜひこのS字にも注目してみてください。

次回は「ダンロップ」。

1コーナー、 2コーナー、 そしてS字。

鈴鹿の序盤のテクニカルセクションを抜け、 次に待っているのが ダンロップです。

高低差を感じながら駆け上がっていく 鈴鹿を代表するポイント。

ここでは、 それまでのS字とはまた違う 「速度の乗せ方」が重要になります。

次回は、 ダンロップを プロドライバー目線で じっくり掘り下げていきます。

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